🇲🇲曙橋のミャンマー・シャン料理店「ゴールデン・バガン」のサイさん・モモさん夫妻

（左：サイさん、右：モモさん）

東京都新宿区・曙橋駅から徒歩5分。ミャンマー少数民族・シャン族の料理を中心に提供する「ゴールデン・バガン」が見えてきます。

シャン州北部の都市ラーショー出身のサイさんとモモさん夫婦が切り盛りする同店。
サイさんとモモさんは来日してから知り合って、結婚に至ったそう。

「ゴールデン・バガン」で提供される料理は本格的なシャン料理が中心で、彩りや盛り合わせも非常に綺麗で丁寧です。
盛り合わせの美しさは約10年日本料理店で働いたサイさんの経験がなせる技となっています。

ミャンマー料理ではお馴染みの「食用の茶葉」を発酵利用したサラダをはじめ、どれも料理は絶品。
中でも、ひよこ豆で作った豆腐をカリッと揚げたシャン族の代表的な料理「トフージョー」は同店のメニューでも人気No.1を誇ります。
その他コース料理やケータリングサービスなども充実しています。

日本の各種メディアでも盛んに取り上げられている「ゴールデン・バガン」。
今回はサイさんとモモさん夫妻に、来日や開店のきっかけ等についてお聞きしました。

（トフージョー）

–−今日はよろしくお願いします！最初に来日のきっかけなどを聞かせてください！

サイさん：
日本に興味を持ったのは、当時ミャンマーで上映されていた日本映画がきっかけです。ミャンマーで2年間日本語を勉強した後、来日しました。来日後は日本料理店で働いていました。

モモさん：
私はヤンゴン大学で数学を勉強していたのですが、父の仕事の関係で日本人と知り合ったことがきっかけで、日本に興味を持ち、日本語を勉強し始めました。当時ミャンマーのテレビで放映されていた日本のドラマ「おしん」の影響も大きかったですね。

–−モモさんは、来日前にはミャンマーで日本語のツアーガイドをされてたんですよね？

モモさん：
ヤンゴン大学卒業後に、ヤンゴン外国語大学大学院で2年間日本語を勉強し、ディプロマを取得しました。話すことも翻訳することも好きなので比較的早く上達しましたね。
同大学院を卒業後は旅行会社に就職しました。

–−日本語ガイドとして、ミャンマーではとても評判がよかったそうですね！

モモさん：
最初は観光地の暗記作業がほとんどで大変でしたが、徐々にガイドを任されるようになってからは、お客様から良い評判をもらうことができるようになりました。
旅行者の方への丁寧な対応を心がけていましたね。

––モモさんの人柄の良さが旅行者の方々にも伝わったんでしょうね！

モモさん：
旅行会社を退職してからは、しばらくフリーのツアーガイドをしていました。その時に出会った旅行者の方との縁がきっかけで、2000年に来日しました。来日してからは、東京ビジネスカレッジを卒業し、就職しました。
また子育てをしながら2011年に明治大学に入学して、政治経済学を学ぶなどしました。

––明治大学在学中はサークルの立ち上げにも関わられたんですよね？

モモさん：
そうですね。明治大学在学中に、友人たちと、国際協力ボランティアサークル「MIFO」（Meiji International Friendship Organization）を立ち上げました。当初はミャンマーとの交流が中心でしたが、現在は後輩たちのおかげで、広く国際交流・国際協力を目的としたサークルとなっています。
現在もサークルは明治大学内にあって、当時のサークルメンバーとは今でも仲良しです。

–– 「ゴールデン・バガン」開店の経緯について教えてください！

サイさん：
来日してから、私が働いていた日本料理店のオーナーが、現在の「ゴールデン・バガン」の店舗がある曙橋で日本料理・天ぷら料理店を開いていたんです。

モモさん：
その日本料理店で、私もアルバイトをしていました。

サイさん：
ある時、オーナーが体調を崩したことをきっかけに、その日本料理店を閉店することになったんです。そうしたところ、オーナーから、「居抜き物件でミャンマー料理店を開かないか」と言われて。当日はミャンマーは民主化に向けて変化したところで、テレビなどで知られてきたところでした。
こうして2015年にオープンしたのが「ゴールデン・バガン」です。

モモさん：
ミャンマー料理店は高田馬場に多いですが、そういった経緯もあって、現在の曙橋に私たちは愛着があります。

––「ゴールデン・バガン」は各種メディアでもたくさん取り上げられてますよね！

モモさん：
「MIFO」や明治大学の友だち、「ミャンマー祭り※」の運営で出会った人たち、ミャンマーの民主化活動に関わるミャンマー人や日本人のグループの方々や、ミャンマー進出の日本企業の友人たちのおかげもあって、「ゴールデン・バガン」を続けていくことができています。
コロナ禍になった時はもうダメかと思いましたが、日本政府の各種助成金や友人の助けもあって、なんとか乗り切ることができました。

※「ミャンマー祭り」
日本とミャンマーにおける両国の芸能や食などを通じ、双方の文化的な交流を目的としたお祭り。港区芝公園にある増上寺で年一回のペースで開催されている。

––モモさんはミャンマー人のためのボランティア活動にも力を入れているんですよね。

モモさん：
そうですね。私は2002年から今まで、ミャンマーの民主化支援やミャンマー人の日本語通訳をボランティアとしておこなってきました。もちろんミャンマーの進出の企業様に通訳兼コーディネーターもしてきました。
ミャンマーはクーデターが発生し、内戦で大変な状況です。
そんな中で、日本は多くのミャンマー人を受け入れていて、その点で日本にはとても感謝しています。
もっと日本人にミャンマーについて知ってほしいですね。

––日本での生活はどうですか？

モモさん：
日本での生活は、周囲を良い人ばかりに恵まれたこともあって、多少の苦労はありましたが、日本の生活に溶け込むことができています。だから、日本が大好きです。

––最後に、今後の目標などについてお聞きしてもいいですか？

モモさん：
実は、私は今年2回救急車で運ばれたんです。今後はもっと健康にも気をつかっていきたいですね。
以前、10年間ミャンマーで旅行会社を作ったこともありましたが、コロナ禍とクーデターで難しくなり、やめました。
そのため、現在はこの「ゴールデン・バガン」をもっと盛り上げること、コロナで父が亡くなっているので、母への親孝行、そして何より「今」を大事にしながら生きていきたいですね。来年で「ゴールデン・バガン」は10周年になります。どこか場所を借りて、お世話になった方々への恩返しを目的としたパーティーを開催する予定です。