6月23日から27日まで、港区虎ノ門の「中国文化センター」において、甘粛ワイン等のPRイベント「甘粛文化年ウォームアップ:シルクロードワインウィーク」が開催されました。
イベントは、甘粛省商務庁、中国文化センター、甘酒類流通産業促進センターと日本で酒類の輸出販売等を行う(株)東和商事が主催。
来年(2026年)の「甘粛文化年」に先立ち、シルクロードの主要地・甘粛省で醸造される甘粛ワインをはじめとした「中国ワイン」の質の高さを日本で広め、日本市場における認知度と評判を高めることがイベントの目的です。
イベントでは、ワインの試飲会、甘粛省の文化や観光説明会、ワインセミナーなどが行われ、甘粛省産のワインをはじめ、中国各地を原産とする様々なワインや文化、観光に関する情報が発信されました。
その他、東京藝術大学の講師で宮廷音楽琵琶演奏家の王暁東さんと吉元ミイ子さんによる琵琶演奏のほか演奏や詩吟などのコンサートも行われ、来場者は音色も楽しみました。
最終日となる27日には、日本と中国のワイン交流を目的とした「日本中国葡萄酒協会」の設立セレモニーも盛大に行われました。
中国のワインは、2000年前に司馬遷が著した「史記」に、すでに中国における葡萄酒の発展が記録されているほど、歴史があります。
甘粛省はブドウの黄金産地である河西回廊の東側に位置。
日照時間が3000時間を超え、昼夜の寒暖差が大きく、山の雪解け水は清らかで汚染がありません。土壌はミネラルが豊富で、ブドウの生育に最適な自然条件を満たしています。
今回のイベントにゲストとして参加し、「中国ワインの日本市場における展望」というテーマでスピーチも行ったマスターソムリエの高野豊さんは、甘粛ワインの魅力について、「十数年前から無農薬有機栽培ができる中国の環境に注目していた。品質も技術革新を経て、昨年からとても良くなった。優れたソムリエであれば、飲めばすぐに良さがわかると思う」と語りました。
また、甘粛ワインが日本で広まっていくために必要なことについては、「とにかく一度飲んでもらえば品質の良さがわかると思う。中国と日本は歴史的にも文化的にも近しい。日本では中国産を信用できないという声もあると思うが、数百年前は、中国の方が遥かに発展していたことに思いを馳せてもらえれば、先入観なしにワインの味を楽しむこともできると思う」と甘粛ワインの魅力をPRしました。
甘粛ワインは莫高、祁连、紫轩、国风などといった有名ブランドが、国際ワインコンクールで多くの賞を獲得。
中国国内で人気があるだけでなく、シンガポールやマレーシアなど諸外国にも多く輸出されています。
高野さんによれば、日本国内の様々な一流レストランにも置かれはじめており、日本でも楽しめるお店が増えているとのこと。
甘粛省の文化や観光のほか音楽等も楽しんだ来場者らは、会場で振る舞われたワインの試飲を思い思いに楽しみました。
最後に、今回のイベントの主催でもある(株)東和商事の劉平原統括部長へのインタビューもさせていただきました。
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(写真右側:劉平原統括部長)
(以下、劉平原統括部長へのインタビュー)
––甘粛省産ワインの魅力は何だと思いますか?
ワインの品質は「7割が原料、3割が製法」とよく言われます。
祁連山(きれんざん)北麓の河西回廊(かせいかいろう)エリアは、国際ブドウ・ワイン機構(OIV)から「ワインのゴールデンゾーン」として認められており、世界でも数少ない完全無農薬・有機栽培によるワイン用ブドウの産地です。
この河西回廊は、砂漠緑化と生態環境保護を契機として発展してきた地域であり、現在ではSDGsの重要構成要素の一つで、国際的な高品質ワイン産地としての地位を確立しています。
––今後日本で甘粛ワインの市場をどのように展開・拡大していく予定ですか?
中国と日本は海を隔てた隣国であり、約2000年にわたる交流の歴史があります。
漢字文化を共有し、飲食文化にも多くの共通点がありますし、シルクロードは日本人にとって人気の観光地です。
こうした背景から、日本とシルクロードのつながりは非常に深く、唐代の王翰(おうかん)の詩『涼州詞』にある「葡萄美酒夜光杯…(ぶどうの美酒、夜光の杯…)」は日本でもよく知られています。
シルクロードとワインの関係は歴史が長いのです。
さらに、中国のワイン産地は日本に最も近く、サプライチェーンも成熟しており、コストも低いという利点があります。
将来的には、日中間のワイン協力には大きな市場余地があり、発展の可能性も大いに期待できます。
––「甘粛文化年」における「文化年」とは何ですか?
中国文化センターでは、毎年1つの省をテーマにして、日中間の文化交流イベントを実施しています。2025年は「山西文化年」、そして2026年が「甘粛文化年」となります。
今回のイベントは、その「甘粛文化年」に向けたプレイベントとして「甘粛文化年プレ企画・シルクロードワインプロモーションウィーク」を開催しました。
––最後に読者の皆さまに伝えたいメッセージはありますか?
シルクロードは日中間の文化交流の架け橋であり、ワインは友好の象徴です。
日中の友好が、まるで一杯の美酒のように、味わい深く、永遠に続くことを願っています!
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(取材・文・写真/劉聰/在日中国人ライター)
【HYAKUYOU編集部】
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