「世界のシャングリラ」の魅力を日本へ – 「雲南省シャングリラ産業展示商談会」が開催

2025.07.21

7月15日、雲南省デチェン・チベット族自治州の豊かな自然が育んだ特産品の魅力を日本のビジネス関係者に紹介する「雲南省シャングリラ産業展示商談会」が、都内のホテル「グランドヒル市ヶ谷」で開催されました。

シャングリラ市は雲南省のデチェン・チベット族自治州に位置する県級市で、標高が高く、美しい自然が有名な地域です。

今回のイベントでは、同市の特産品の紹介や企業プレゼンテーションに加え、チベット族の伝統文化に触れる機会も設けられ、両地域の経済および文化交流の深化が期待される一日となりました。

商談会は、デチェン・チベット族自治州出身のアーティスト、次里取追さんによる独唱で華やかに開幕。
その後、主催者、来賓、そして多くの参加者が壇上に上がり、記念撮影が行われ、和やかな雰囲気の中でイベントがスタートしました。

イベントでは、主催者である中国雲南省の代表団と、日本の政財界からの来賓が紹介され、それぞれが挨拶を行いました。

雲南省デチェン・チベット族自治州商務局代表の此里魯甲氏は、デチェンがチベット語で「吉祥如意の地」を意味することを紹介。
世界的に評価の高いマツタケや、高原のブドウから造られるワイン、はだか麦を用いたビールなど、多様な特産品の魅力を力強く語り、「『世界のシャングリラ』は、皆様と共に発展し、共に未来を築くことを期待しております」と、日本企業との協力への期待を表明しました。

中華人民共和国駐日本国大使館の洪志傑参事官は、「日本に輸出されているマツタケの7割はシャングリラから出荷されている」と述べ、高品質なワインや漢方薬材など、シャングリラの産品が日本市場にもたらす新たな可能性を強調しました。

(洪志傑参事官)

日本貿易振興機構(JETRO)の河野円洋氏は、中国が日本にとって最大の貿易相手国であり、雲南省との関係も長年にわたることを指摘。
穏やかな気候と豊かな土壌を活かした農業が盛んな同省の特産品や、新エネルギー、先進製造業といった新産業の振興は、「日本企業にとっても非常に大きなビジネスチャンスになる」との見解を示しました。

公益財団法人日中友好会館中国代表理事の黄星原氏は、シャングリラを「山が青く、水が美しい、松茸の香り漂う地」と表現。
今後はマツタケだけでなく、その背景にある文化や他の特産品も広く紹介していきたいと語りました。

共催の雲南省駐日本(東京)商務代表処の初鹿野惠蘭首席顧問は、雲南省への深い思いを語り、「『世界のシャングリラ』の素晴らしい風景、奥深い文化、そして民族の情熱と素朴さを日本の皆様にお伝えしたい」と挨拶。
今後も日本と雲南の交流の架け橋となる決意を語りました。

イベント中盤では、シャングリラの魅力を紹介するPR映像が上映。
標高3,300メートルの汚染されていない原生林で育つマツタケや、厳しい自然環境が生み出す希少なアイスワイン、氷河の雪解け水とはだか麦で造られるクラフトビールなどが紹介され、参加者はその豊かな自然の恵みに見入っていました。

続いて、現地の代表的な企業3社が登壇。
それぞれが自社の製品や技術についてプレゼンテーションを行い、その品質の高さをアピールしました。

商談会の最後には、チベット族自治州の無形文化遺産伝承者、尼瑪此里氏による特別演奏が行われました。
人々の暮らしと心に根差した「幸福吉祥の歌」が独奏されると、その深く美しい音色が会場を包み込み、参加者を魅了しました。

(尼瑪此里氏)

その後は、会場に設けられたブースで自由商談会がスタート。
参加者はコーヒーやお菓子を片手に、各社の担当者から熱心に説明を受け、商品を手に取りながら活発な情報交換を行っていました。

今回の商談会は、シャングリラが誇る高品質な特産品を日本市場に紹介する絶好の機会となっただけでなく、伝統文化を通じて相互理解を深める貴重な場ともなりました。

参加した日本企業関係者は、イベントについて、「一番印象的だったのはパフォーマンス。みんな衣装が違っていて、雲南省には色々な民族がいることを知れた。紹介された商品に関しても、『メイド・イン・チャイナ』というと少し小馬鹿にされる風潮があるが、総じてレベルが高く、驚いた。お酒もとても美味しかった。メディアで感じるイメージとは違って、とても素晴らしかった」と率直な感想を述べました。

主催者や来賓から語られた強い期待の言葉通り、本イベントを契機に、日本と雲南省、そしてシャングリラとの経済的な結びつきが一層強固なものとなることが期待されます。

最後に、主催の雲南省デチェン・チベット族自治州商務局此里魯甲代表に独占インタビューをさせていただきました。
(以下、此里魯甲様へのインタビュー)

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––本日、日本でこのような素晴らしいイベントを開催された感想はいかがでしょうか。

まず、日本の皆様は非常に親切であると感じました。
今回、シャングリラから14の優れた特産品を扱う企業が参加し、日本でビジネスマッチングと製品の展示会を開催しました。
これを機に、私たちのシャングリラの良い製品が日本市場に流通し、定着することを期待しています。
また、日本の皆様が、シャングリラのマツタケをはじめとする特産品に、非常に好意的であると感じました。
先ほどの会場の雰囲気からも、日本側が私たちの特産品を高く評価してくださっていることがうかがえます。
次のステップとして、双方の協力関係が具体的な成果に結びつき、シャングリラの対外貿易や協力、交流が新たな段階へ進むことを促進できればと考えております。

 

––シャングリラの魅力は何でしょうか?

シャングリラという地名は、説明会でも紹介がありましたが、小説『失われた地平線』の舞台に由来します。
この広く知られた名前と、私たちの持つ産業上の優位性、豊かな資源、そして独自の文化を融合させ、「世界のシャングリラ」としてその魅力を世界に発信し、対外関係をさらに拡大していきたいと考えております。

シャングリラの魅力は、まず資源の優位性にあります。
そして、文化は多様で彩り豊かです。自然環境も非常に美しく、ぜひ日本の企業家の皆様にもシャングリラを訪れ、その素晴らしさを体験していただきたいと願っています。

自然の風景が美しく、豊かで多様な文化があり、マツタケなどの豊富な特産品や、それに関連する産業があります。
総合的に非常に優れた、人々を惹きつける場所がシャングリラです。

 

––日本のどのような企業や個人に進出してほしい、あるいは協力関係を築きたいとお考えでしょうか?

まず、相互の文化について、より深いレベルでの交流を希望しています。第二に、観光分野、特に国際観光をさらに拡大していきたいと考えています。

マツタケは日本で大変好評ですが、今後は他の特産品の貿易も拡大していきたいです。

マツタケやワインなどを筆頭に、貿易関係に留まらず、観光や文化交流といった、より広い分野での協力を推進していきたいと考えています。

 

––最後に、読者である日本の皆様へメッセージをお願いします!

「世界のシャングリラ」は、寛容さ、情緒、そして悠久の歴史を内包しています。
シャングリラは世界への扉を開いています。
日本のゲストの皆様、観光客の皆様、そしてご友人の皆様、「世界のシャングリラ」が皆様のお越しを歓迎します。
ぜひ、その魅力を体験するために、シャングリラにお越しください。

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【取材・文・写真/劉聰/在日中国人ライター】

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