
2020年に東京で結成された4人組オルタナティヴ/サイケデリックポップ・バンド、xiexie(シエシエ)。
USインディーやネオアコなどの空気感を日本語で軽やかに鳴らす彼らは、2024年に待望の1stアルバム『wellwell』をリリースし、国内のみならずアジア圏のインディーシーンでも熱い支持を集めています。
昨年には、初の香港・中国本土を巡るアジアツアーも開催されました。
中華圏の文化に惹かれソロで活動していたMeariさん(Vo, Gt)の透き通るような歌声と、幸田大和さん(Gt)、開輝之さん(Ba)、飛田興一さん(Dr)が織りなす心地よいグルーヴは、日常に潜む寂しさややるせなさに優しく寄り添い、リスナーの心に独自の「揺らぎ」をもたらしてくれます。
本記事には、そんな彼らの勢いと魅力を象徴する一夜となった、2月10日開催のライブ「xiexie 『zzz』 Release Show OBE」の熱気あふれる写真を多数掲載。
インタビューには、同公演にゲストキーボードとして参加し、バンドのサウンドに豊かな彩りを添えたHakuさんにも同席いただきました。
朝活のヨガイベントでの出会い(!)から始まったという結成秘話や、xiexieというバンド名に込められたハッピーな想いをはじめ、メンバーそれぞれのディープな音楽的ルーツを深掘り。
さらには「神話」や「日光東照宮の逆柱」、「新印象派の画家たち」といった、音楽の枠を超えたクリエイティビティの源泉にも迫りました。
完璧さよりも「癖や違和感」を愛し、音楽というツールを使って言葉の壁を越えた「圧倒的世界平和」という壮大なビジョンを描く彼ら。
未知なる表現を探求するHakuさんの視点も交えながら語られた、彼らの静かで熱い情熱と、世界中へと向かう大きなまなざしに、ぜひ言葉とライブ写真の両方から触れてみてください。

−−ボーカルのMeariさんは上海や台湾に親しみがある旨を伺いました。バンド結成のきっかけからバンド名が決まるまでの経緯を教えていただけますか?
Meari:
私はもともとソロで活動していて、中国語の響きや中華圏の文化に惹かれ、一人旅をしていました。
上海でライブをしたり、大連で舞台に立ったこともあります。
ドラムの飛田と出会ったのは、共通の友人がやっていた朝活のヨガイベントで(笑)。
私がSNSに上げていた歌を聴いて連絡をくれたのがきっかけです。
飛田とギターの幸田は長く一緒にバンドをやっていて、USインディーの空気感を日本語で鳴らすバンドをやりたいと考えていたそうです。
そこに、飛田が以前から一緒にやりたいと思っていたベースの開も加わって。幸田のデモに私の歌を乗せたとき、「いいね」となって、このバンドが始まりました。
バンド名は、短く覚えやすいものを探す中で、語感と綴りに惹かれてxiexieに決まりました。
私たちのどこかハッピーなバンドでいたいという気持ちも表れている気がしています。



−−みなさんが影響を受けたアーティストや作品についてお聞きしたいです!最近よく聴いている音楽も良ければ教えてください!
Meari:
影響を受けたのはRamones、Madonna。
最近聴いているのはJuana MolinaやView From The Bus Tourです。
幸田:
Fleet Foxes、Moon Panda、BØRNS。最近はYellow Days。
開:
影響を受けたのはネオアコ、パンク系のバンドが多いです。
Cardigans、Velvet Underground、the JAM、the Who。最近はアジアのインディーバンドを掘っています。
White Shoes & The Couples Company、YONLAPA、Door Plant、KIKI、FOLK9。
飛田:
影響はShinichi Osawaさんです。最近聴いているのはOneohtrix Point Never。
Haku:
Alexander Skrjabin/Robert Schumann/Klaus Schulze/灰野敬二さん。最近よく聴いているのは…New Orderに戻っています。



−−音楽以外で、制作に影響を与えているものはありますか?
Meari:
人との関係の中で生まれる揺らぎや、静かな部屋の空気。寂しさややるせなさと向き合う時間を通して自分自身を知ること。
幸田:
神話、古代文字、大和言葉、古事記、古代哲学、宇宙哲学、料理、スターウォーズ、全て逆理論。
開:
日光東照宮の逆柱:完璧なものには邪が宿るため、敢えて1本の柱だけ違う模様を入れることで永久性を願ったといわれている柱。
音楽にもその少しの違和感が記憶に残ると思うので大事にしている考えのひとつです。
飛田:
友情。
Haku:
新印象派の画家たち。宗教的な場所など、人間の感情というエネルギーが集まるところ。自然の音。



−−結成当初と比べて、「これは変わった」「これは変わっていない」と感じる部分はありますか?
Meari:
変わったこと→完璧さを目指すよりも、癖や揺らぎを魅力として生かしたいと思えるようになったこと。音楽だけじゃなく、人との向き合い方にもつながっている。
変わらないこと→ワクワクを核にすること。迷うことがあっても、自分が面白いと思えているかという感覚を大切にしている。
幸田:
変わったこと→ファンのみなさんのための音楽作りになった。
変わらないこと→自分たちが成し遂げたいこと。
開:
変わったことは結成時当初より海外にアプローチするケースが増えたため、より世界を意識した制作になったと思います。
メンバーの絶妙なバランスは変わっていないと思います。それぞれが役割として機能して支え合う理想的なチームじゃないでしょうか。
飛田:
変わったこと→自分たちの満足を越え、皆に音楽で楽しんでもらいたいと思ってます。
変わらないこと→サウンド。



−−音楽を通じて、社会(世界)にどのようなインパクトを与えていきたいですか?もしあれば、教えていただきたいです。具体的であればあるほど嬉しいです。
Meari:
影は、影色の光になり得るということ。強すぎず、消えることのない静かな情熱を届けていきたい。
幸田:
言葉の壁を超え、音楽というツールを使って、物ではなく、人の心を豊かにして満たしていく圧倒的世界平和。
開:
音楽は人が活力を持って生きるために必要不可欠な存在です。我々の音楽を日本だけに限らず、広い視点で世界に届けていけるよう活動していきたいです。
飛田:
こうあるべきみたいな凝り固まった概念を柔軟に緩和させたい。人と関わる事の楽しさをバンドから派生させたいです。
Haku:
インパクトはあまり考えていません。自分が好きなものを作って、その時の感情を入れるだけです。あとは自然に任せています。



−−今後の目標やビジョン、これから挑戦してみたい表現や形態はありますか?
Meari:
様々な文化や背景を持つ人たちの前で演奏していきたい。いろんなミュージシャンやクリエイターと出逢い、影響を受け合いながら、自分の表現を更新し続けていきたい。
幸田:
世界中でもっと大きいステージで、たくさんの人にxiexieの音楽をぶつけてみたい。
そして各地で出会ったバンドやミュージシャンと演奏したり作品を作ったりしてみたい。
開:
海外フェス(グラストンベリー!)に出演するのが目標の一つです。日本から海外への橋渡しとなるようなバンドになりたいですね。
今はアジア圏でショーをする事も徐々に増えてきましたが、USやヨーロッパ等西洋圏でも今後はやってみたいです。
飛田:
世界へ。良きカルチャーの架け橋になっていきたいです。
Haku:
大学の時、専攻が音響デザインだったので、最初のハードウェア系の仕事から今のようなパフォーマンスまで、さまざまなステージやスタジオの仕事を経験してきました。それでもやはり、まだ経験したことのない未知の領域に一番惹かれます。
さまざまなスタイルのバンドをサポートするなど、音楽活動を通じていろいろなポジションで関わってみたい。ただの好奇心かもしれません。


−−−
【編集後記】
東京で芽吹いた衝動は、アジアを越え、その先の景色を見据えている。
ライブの夜、ステージに満ちていたのは熱狂だけではなかった。
光と影のあいだで揺れる音、メンバー同士のまなざし、観客の呼吸。
そのすべてが重なり合い、確かに「いまここ」にしかない瞬間を作り上げていた。
国境や言語を越えて広がる音の余白と、人のぬくもり。
その静かな波紋が、世界のどこかで新しい共鳴を生む瞬間を、これからも目撃していきたいと思う。
次の街で、次の国で、その揺らぎがどんな景色を描くのか——その続きを、ぜひ見届けたい。
xiexie
Youtube:https://youtube.be/@xiexieband
X:https://x.com/xiexiemusic
Instagram:https://www.instagram.com/xiexiemusic/
Facebook:https://www.facebook.com/xiexiemusic
Hakuさんがゲスト出演しているRadio:https://youtu.be/4FLzNlSrHpM?si=cADZxelyYyAFzzf8
(取材・文/劉聰/在日中国人ライター)