
新年度を迎え、春の陽気が深まる今日この頃。
今年3月下旬、東京都港区の中国文化センターにて開催された「2025年度 訪中団報告会&講演会&ワークショップ」で生まれた熱気は、数週間が経過した現在も参加者たちの間で冷めることなく、次なる民間交流への原動力として静かに、そして力強く広がりを見せている。
本イベントは、認定NPO法人東京都日中友好協会青年委員会が主催(後援:中国駐東京観光代表処、特別協力:中国文化センター、シーアイティーエス・ジャパン株式会社)したもので、学生から社会人まで約40名が参加。
「訪中経験を次の行動につなげる」をテーマに、等身大の中国の姿や今後の両国関係のあり方について活発な意見が交わされた。
Z世代がリアルな目線で見た「多様な中国」
報告会では、内モンゴル自治区フフホト市での中高生キャンプや、成都市でのビジネス視察、各国の学生と交流する国際会議への参加など、様々な形で中国を訪れた若者たちが登壇した。
プロのフォトグラファーで、訪中団にも随行した比屋根悠亮さんは、「現在、日中関係は複雑な局面にあるが、だからこそ民間レベルでの交流が一層重要になる。より多くの日本人に中国を訪れてほしいし、私自身も中国の魅力を発信し続けたい」と、自身の撮影した現地の風景とともに熱っぽく語った。






列車でラオスへ? 最新トレンドと白熱の旅行企画
特別講演では、シーアイティーエス・ジャパン株式会社の中村友明氏が「2026年 中国旅行トレンドとツアー造成の裏話」と題して登壇。雲南省から列車でラオスへ抜ける国境超えツアーツアーが人気を集めているなど、実務的な視点からの最新動向が紹介された。
講演会後には5〜6名のチームに分かれてオリジナルの中国旅行プランを企画するワークショップを実施。
「雲南省の秘境×キノコグルメ旅」や「中国東北部の歴史探訪」、「海南リゾートの旅」や「上海&香港ディズニー巡り」など、若者ならではの多彩なアイデアが次々と飛び出し、会場は探求心と笑顔に包まれた。


ニュースに惑わされない「個」のつながり
この日、これまで中国を訪れたことがない参加者たちにも大きな意識の変化があったようだ。
30代の社会人である落合洸太さんは、「中国に対してぼんやりとしたイメージしかなかったが、スケールの大きさと多様な魅力を知った。ニュースに惑わされず、良い関係を築けたらと前向きに考えている」と語る。
また、20代学生の小野寺風花さんも「国と国という政治の枠組みで捉えるのではなく、相手一人ひとりに目を向け、尊重し合える関係を築くことが平和を守る土台になる。対個人としてのコミュニケーションの場が今後さらに増えていくことを期待したい」と、直接的な交流の重要性を噛み締めていた。



「感動」を「行動」へ──2026年度の新たな船出
昨年度、延べ140日近く中国に滞在し、計12回にわたる訪中団の企画・引率を担当した同協会の井上正順副理事長は、イベントの手応えと今後の展望について次のように力を込める。

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今回の報告会は、
①受け入れていただいた中国側への御礼
②訪中団参加者同士の再交流の場の創出
③次回訪中に向けた機運の醸成
の三点を目的として開催いたしました。
当日は、訪中団の引率者や参加経験者に加え、企業関係者、そして将来的に訪中を希望する若者にもご参加いただきました。
訪中団参加者からは、自らの目で見た等身大の中国の魅力が率直に語られ、さらに中国旅行の専門家であるCITS中村様の講演を通じて、最新の旅行動向や中国の多様な魅力が共有されました。
後半のワークショップでは、『次に行きたい中国旅行』をテーマに意見交換を行いながら旅行行程表を作りました。私も色々なグループをまわって見てましたが、多くの参加者の中に『できるだけ早く再び中国を訪れたい』という思いが芽生えていることを実感いたしました。
こうした若者たちの『中国に行きたい・体験したい・交流したい』という声をしっかりと受け止め、さらに同じ志を持つ仲間を増やしながら、本年度中の新たな訪中団の実現に向けて引き続き尽力してまいります。
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桜の季節が過ぎ、街が新緑に染まり始めた現在。
あの日、会場で交わされた熱を帯びた議論や、ワークショップで描かれた夢溢れる旅行プランは、決して一過性のイベントの思い出として色褪せてはいない。
むしろ、時間が経過したことで、参加者一人ひとりの中で「次なる行動」への道筋がより明確に定まりつつあるようだ。
ニュースの向こう側にある「リアルな中国」を知った若者たちは、それぞれの日常に戻った今、周囲の友人や同僚へその体験を語り継ぐ小さな「友好の使者」となっているはずだ。
複雑な国際情勢が日々報じられる昨今において、参加者が語ったように、先入観を持たず相手を直接見て尊重し合う「個」と「個」のつながりこそが、揺るぎない平和の礎となる。
東京都日中友好協会青年委員会がこの報告会で蒔いた相互理解の種は、次なる訪中団の結成という新たな芽吹きに向けて、着実に根を張り始めている。
「できるだけ早く再び中国を訪れたい」──若者たちの純粋で力強い思いを原動力に、2026年度の新たな日中民間交流の船出に向けた準備は、すでに水面下で力強く進んでいる。
彼らが次に海を渡り、どのような新しい中国の姿をその目に焼き付け、どのような未来の架け橋を築いていくのか。
次世代が切り拓く交流の航海から、今後も目が離せない。

認定NPO法人東京都日中友好協会
HP:https://www.jcfa-tyo.net
instagram(青年委員会):https://www.instagram.com/jcfa_tyo_seinen/
(取材・文/劉聰/在日中国人ライター、日本外国特派員協会(FCCJ)会員)