タイ人起業家・REMさん
「日本の職人魂を世界へ。提案するのは『クラウドファンディング』を活用した海外進出の最短ルート」

2026.05.01
(REMさん)



日本のアニメに魅了されて独学で日本語を学び、学生時代からビジネスをスタート。現在は日本とタイに法人を構え、多角的なビジネスを展開しているTARINTON AKABUSH(通称:REM(レム))さん

REMさんは、タイ最大級のECモール・Lazadaの最年少セラーアンバサダーに選ばれたほか、ビジネス系の人気YouTube番組でも、流暢な日本語による説得力あるビジネスモデルのプレゼンで投資家たちから絶賛された若き経営者です。

現在は、自身が経営するRB株式会社の運営や「MONOZUKURI JAPAN」といったサービスを通じ、日本のモノづくり企業の海外進出をサポートしています。

今回はREMさんが出資を受ける「株式会社トリアイナ」様のオフィスの一角をお借りして、REMさんの起業エピソードから、日本のモノづくりへの熱い思い、そして今後のビジョンまで、たっぷりお話を伺いました。




日本のモノづくりの強み「職人の魂」を世界へ


−−本日はよろしくお願いします。まずは、自己紹介をお願いしても良いですか?

REM:
よろしくお願いします。

簡単にお話しすると、現在は日本とタイで法人を経営しています。

タイの法人では日本の商品や中国の商品の輸入販売、そして日本企業のタイ進出代行などを行っています。

日本の法人(RB株式会社)では、逆にタイや中国のものを輸入して日本で販売したり、クラウドファンディングを通じて、自社商品を企画して、うまくいったものを販売したりしています。

また、そのノウハウを活かして、日本のメーカーさんがアメリカやヨーロッパなどへ海外展開する際の支援も行っています。

今は日本語学習者向けの単語帳を作って海外へ販売する事業などが進行中です。



−−現在、REMさんは「MONOZUKURI JAPAN」を通じて日本のモノづくり企業の海外発信をサポートされていますよね。海外から見て、日本のモノづくりの強みはどこにあると感じますか?

REM:
やはり「こだわり」です。
例えば「桐箱」一つとっても、中の湿度を保つために数ミリ単位で密閉度を調整しています。

海外の安価なものだと「とりあえず閉まればいい」という感覚のことも多いですが、日本の職人さんは「最高のものを作りたい」「100年保管できるようにしたい」と、商品に誇りと魂を込めています。

それが一番の強みです。



−−素晴らしいですね。一方で、海外展開に苦戦する日本企業も多いと聞きます。

REM:
そうですね。

海外の展示会に数百万円かけて出展したり、リサーチ会社に高額な費用を払ったりして、結局「名刺交換だけで終わってしまった」「分厚いレポートをもらったけど、次にどうすればいいか分からない」と心が折れてしまうパターンも多いです。

バイヤー側も、海外で売れるかどうかわからない商品を仕入れるのは怖いですから。



−−そこで、REMさんの会社が提供している支援サービスが活きてくるわけですね。

REM:
はい。
弊社では、アメリカの世界最大級のクラウドファンディングプラットフォーム「Kickstarter」を活用した進出支援を行っています。

50万円で写真や動画、LPの作成から広告運用まで一気通貫で代行します。

クラウドファンディングなら、その商品が海外でニーズがあるかがすぐに分かりますし、そこで集まった支援額が「実績」になります。

その実績を持った上で、展示会に行けば、バイヤーとの話も圧倒的に早くなるんです。



−−なるほど! ちなみに、海外で成功する日本製品に共通点はありますか?

REM:
「独自性・差別化」と、作り手の「ストーリー」ですね。

ただ伝統的だから良いというわけではなく、「伝統的な良さ」「現在の流行」「商品の利便性」の3つを掛け合わせた商品が一番強いです。

以前、有田焼のとあるメーカーさんをサポートさせていただいた際、海外で数千万円の売上が立ち、従業員の方々にボーナスを出すことができたんです。

若い人たちも「アメリカに届く商品を作れるなら」と有田焼の産業に興味を持ってくれて、伝統産業を長く残す一つの道を作れたと感じて、とても嬉しかったですね。




自由な時間でアニメをたくさん見たい! それが「経営者」を目指したきっかけ


−−タイ出身のREMさんが日本に関心を持ったきっかけは何だったのでしょうか?

REM:
ベタなんですが、日本のアニメが好きだったんです。
最初は字幕で見ていたんですが、「日本語で理解したい!」と思って独学で勉強を始めました。

その後、奨学金をもらって日本の大学にも何度か留学し、日本の文化や生活も好きになって「いつか日本に住みたい」と思うようになりました。

ちなみに、初めて衝撃を受けたアニメは『涼宮ハルヒの憂鬱』です。



−−REMさんは学生時代からすでにビジネスを始められていたと伺っていますが、起業のきっかけもアニメだったとか?

REM:
そうなんです。

高校2年生の時にアニメにハマったんですが、普通に就職して週5日・1日8時間働くと、アニメを見る時間が少なくなってしまうじゃないですか。

「どうすれば自由な時間でアニメをいっぱい見られるか?」と考えた結果、「経営者になって自分で働かなくてもいい仕組みを作ればいいんだ」と思い立ったのが始まりです。



−−最初のビジネスはどんなものだったんですか?

REM:
当時、日本のアニメの「抱き枕カバー」はタイでも買えたんですが、中身の「芯(クッション)」が売っていなかったんです。

サイズが大きいので、日本から輸入すると送料込みで数万円かかってしまいます。

「じゃあ、自分で作れば売れるんじゃないか」と思い、裁縫屋さんに頼んで作ってもらいました。

自分でホームページを作って5000円くらいで販売したら、界隈の人たちに大ヒットしたんです。それが高校生の時で、初めて自分のビジネスでお金を稼いだ経験です。

大学時代には、外国人向けの「漢字の暗記カード」がないことに気づき、日本の100円ショップの暗記カードを買って自分で作って販売したこともあります。これもその界隈で評判がよかったです。




Amazonの仕組みに感動。ECビジネスでの成功と苦労


−−ご自身の「欲しい」というニーズが、世間のニーズと見事に合致したんですね。その後、日本でもビジネスを始めようと思ったのはなぜですか?

REM:
日本留学中に、日本のAmazonの「FBA」という倉庫・配送代行の仕組みを知って衝撃を受けました。

タイには当時そういうサービスがなく、売れれば売れるほど自分で梱包や発送をしなければならない手間があったんです。

でも、Amazonなら、倉庫に送るだけで勝手に発送してくれて、自分はマーケティングだけに集中できる。

「これはすごい!」と思い、日本にいながらタイや中国のモノを輸入してAmazonで販売するビジネスを始めました。



−−目の付けどころが素晴らしいですね。その後、日本で会社を立ち上げられたのはいつ頃ですか?

REM:
大学卒業後、本当はすぐに日本に行きたかったんですが、経営管理ビザを取得するための資本金500万円がなかったので、一度タイに戻って起業しました。

そこでECビジネスを頑張って資金を貯めたんですが、いざ日本に行こうとしたタイミングでコロナ禍になってしまって。



−−それは大変でしたね……。ビジネスへの影響はありましたか?

REM:
逆に、みんな外出できなくなってECの需要が爆発し、売上は3倍くらいに伸びました。
コロナ禍が一番儲かりましたね。

その後、コロナ禍が明けてから来日して、日本で法人(RB株式会社)を設立しました。

ただ、今はタイの会社を弟に任せているんですが、遠隔でのマネジメントは本当に大変です。
一度は資金を持ち逃げされたこともありました…。




日本社会における外国人との共生と課題


−−起業家として日本とタイを股にかけて活躍されていますが、日本社会で「ここが変わればいいな」と思うことはありますか?

REM:
会社を経営する上で、不動産を借りたり銀行口座を作ったりする際、外国人というだけで審査のスタートラインにも立てず、書類で落とされる(門前払いになる)ことが多いのは苦労しますね。
「一度面接で話を聞いてから判断してほしいな」とはよく思います。

ただ、日本の人口が減っていく中で、外国人と共存していくことは避けられません。

日本人も外国人も、お互いの輪の中に少しずつ歩み寄って、どの部分で協力していくかを調整していく時期(転換点)に来ているのだと思います。




家族との時間、そして日本とタイの架け橋となる未来へ

−−最後に、今後のビジョンを教えてください!

REM:
まずは、日本のモノづくり企業や町工場等に貢献し、日本のモノづくりを復活させるための力をつけたいです。

そのためにも「MONOZUKURI JAPAN」の事業をさらに拡大していきます。

そしてある程度、知識や資金、人脈を蓄えたら、今度はタイのモノづくりに貢献したいと考えています。

タイは融資の金利が非常に高く、新しいアイデアがあっても資金面で挑戦しづらい環境です。
だから将来は、タイでクラウドファンディングのプラットフォームを作り、新しいイノベーションが生まれる道を作りたいと思っています。



−−根底にはずっと「モノづくりを応援したい」というブレない思いがあるんですね。プライベートでの目標はありますか?

REM:
日本人の妻と、5歳、3歳、1歳の3人の子どもがいるんですが、今は仕事が忙しくて、なかなか旅行に行けていないので、仕事が軌道に乗ったら、家族で海外旅行に行きたいですね。

趣味に関しては、「働きたくないから」という理由で起業して、実際に週1日程度しか働かない時期を実現したこともあったんですが、暇すぎるからか、その時期にアニメを見ていてもあまり充実感がなかったんです(笑)。

今は忙しい中で趣味を楽しむ方が充実していると考えています。



−−アニメ愛は変わらずですね! ちなみに、最近の「推しアニメ」は何ですか?

REM:
『葬送のフリーレン』です。

日本だと一番早く見られるのがいいですね(笑)。
日本はマーケットが大きく、ビジネスの補助金などの制度も整っていて、そしてアニメも最高。

本当に魅力的な国だと思います。



−−本日は貴重なお話をありがとうございました!




RB株式会社
HP:https://rb13.co.jp

MONOZUKURI JAPAN
HP:https://monozukurijapan.jp

株式会社トリアイナ
HP:https://toriaina.com




【HYAKUYOU編集部】

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