
手作り餃子を囲み、日中の若者が「わちゃっと」交流
8月8日、横浜・関内の一角にあるイベントスペース「サンライズ関内」に、若者たちの明るい笑い声が響き渡っていた。
テーブルを囲み、慣れない手つきで餃子の皮を包んでいるのは、日本と中国の若者たちだ。
母語も語学のレベルも様々だが、手作り餃子づくりやゲームといった共同作業を通じて、初対面同士でも自然と会話が弾んでいく。
この日開催されたのは、日中青年交流団体「Wacha(和茶)」が主催する「第二回日中オフライン交流会」だ。
「包むのは餃子、つながるのは心。餃子を作ろう」をテーマに掲げた本イベントには、35歳以下の学生や社会人が集い、盛況ぶりを見せた。
パンダと鶴が一緒にお茶を楽しむ可愛らしいロゴが印象的な「Wacha」。
彼らの活動テーマは「わちゃっと、つながる」だ。
日中の若者が「わちゃわちゃ」と気軽に出会い、話し、仲良くなれる場を作っているコミュニティで、彼らは「政治や外交だけではなく、一人ひとりの出会いと対話から生まれる理解を大切にしたい」「相手を直接知ることで偏見は少しずつ変わっていく」と信じ、この場を提供している。
日頃は、すでに第9回まで開催されている日中オンライン交流会の企画・運営を中心に活動の輪を広げている。
それに加え、東京・神奈川を中心としたカラオケ交流会などのオフラインイベントの開催や、SNSを通じた日常・文化・価値観の情報発信も積極的に行っている。
語学能力を問わず「一人参加・初参加も大歓迎」とするオープンな姿勢が特徴だ。
国境を越えた情報が瞬時に手に入る現代にあって、なぜ彼らはあえて「直接の交流」にこだわるのか。
幹部を務める大学生の大内玲旺さんに、団体の成り立ちや今後の目標、さらには当メディアのテーマである多文化共生についても話を伺った。

【インタビュー】「Wacha」幹部・大内玲旺さん
「外からの情報だけで判断せず、まずは直接交流を」
--本日は「Wacha」として第2回目となるオフラインイベントでしたが、開催してみていかがでしたか?
大内玲旺さん(以下、大内):
最初に一番嬉しかったのは、日本人、中国人問わず、本当に多くの方が参加してくださったことです。
私たちもずっと前から企画を準備してきましたが、参加してくださる方がいなければ成り立ちませんから。
中には、元々中国文化に興味がなかったという方も参加してくださいました。
そうした方々が「食」という共通の文化を通じて交流し、中国文化に興味を持つきっかけになればと思っています。
今後もそうしたきっかけを作る場をたくさん提供していきたいです。

--「Wacha」はそもそもどのような団体なのでしょうか?
大内:
元々は団体という形ではなく、「日本の若者と中国の若者が交流できる場を提供したい」という個人の思いから始まりました。
ただ、団体名があった方が認知されやすいと考え、現在の形をとっています。
私たちの主な目的は、日中の若者が集まり、お互いの価値観や文化を共有できる場を提供することです。
「〇〇協会」といった肩書きや形式にとらわれず、実際の活動そのものに目を向け、その本質を見失わないようにしています。
--どのような経緯で設立されたのでしょうか?
大内:
現在、中国の清華大学に留学中の山田由美さんという方が、高校生だった2024年に立ち上げました。
私と山田さんは神奈川県日中友好協会に所属しており、同じ大学生として「こういう活動をしているんだけど、一緒にやってみないか」と誘われたのがきっかけです。

--現在はどのようなメンバーが参加しているのでしょうか?
大内:
幹部は6人で、日本人が3人、中国人が3人という構成です。
居住地も日本が3人、中国が3人と分かれています。
当初は山田さん、私を含む3人で運営していましたが、参加人数が増えて運営が難しくなり、新たに協力してくれる幹部を募集しました。
新しく加わったメンバーも、交流会の改善点や新たな提案を積極的に出してくれるなど、毎回情熱を持って活動を支えてくれています
--「Wacha」の活動に参加して良かったと感じる瞬間はどんな時でしょうか?
大内:
今回のイベントのように、元々中国文化にあまり興味を持っていなかった人たちが「面白そう」と参加してくださり、日本にいる留学生や中国人の方々と交流できる場を作れたことには、大きな意義を感じています。
日本文化に興味を持って来日する中国の方でも、「他の人と話したり、日本人の友達を作ったりするハードルが高い」と感じている方は多いと聞きます。
私たちの活動が、そうした交流のハードルを下げるきっかけになれば一番嬉しいですね。

--団体としての今後の目標を教えてください!
大内:
現在は比較的小規模で活動していますが、いずれは規模を拡大し、中国に興味がない方でも気軽に参加できるようなきっかけを広く提供していきたいです。
最終的には、お互いの国に対する偏見を少しずつ減らしていくことが目標です。
中国現地のメンバーもいるので、ゆくゆくは中国での活動も予定しています。
まずは参加しやすいオンライン交流会を中心に、将来的にはオフラインでも展開していきたいと考えています。
--私たちのメディアは「多文化共生」をテーマにしています。現在の日本社会における多文化共生について、大内さんのお考えをお聞きしてもよろしいでしょうか?
大内:
現在の日本社会には、外国人に対してあまり良いイメージを持たない風潮が一部にあると感じています。
しかし実際には、社会の基礎的な部分が外国から来た実習生などによって支えられている側面もあります。
ニュースなどで取り上げられるのは、ごく一部の犯罪などネガティブな側面が多く、外国人に対する一面的なイメージしか世間に広まっていないのではないでしょうか。
だからこそ、「Wacha」では、外国の方と直接接する機会をたくさん提供することで、偏見をなくしていきたいと考えています。

--まずは「直接知ってもらう」ことが重要だとお考えなのですね。
大内:
はい。実は私自身も日本生まれ日本育ちで、以前は中国や韓国など外国に対して抵抗感を持っていました。
しかし、中国語を勉強し、中国人の先生や友人ができ、実際に交流していく過程で、そうした偏見が徐々になくなっていったという経験があります。
だからこそ、まずは交流することが大切です。
実際に交流することなく、外からの情報だけで相手を判断するのは、非常に身勝手で傲慢なことだと思っています。
--外国への抵抗感があったにもかかわらず、なぜ中国語を学ぼうと思ったのですか?
大内:
きっかけは中国の音楽でした。
本当に運命のようだったのですが、突然YouTubeのおすすめに中国の楽曲が出てきたんです。
クリックしてみると歌詞に日本語の翻訳がついていて、「中国にも日本の歌のようにいい曲がたくさんあるんだな」と知り、そこから少しずつ興味を持ち始めました。
今日の交流会が「料理」をテーマにしているのも同じで、共通して楽しめるものから入り、そこから相手の文化に触れて理解を深めていくことが大切だと感じています。
元々は狭い視野で外の世界に抵抗があったのですが、中国語を勉強し、異文化と出会うことで自分の偏見が壊れ、世界が広がっていく楽しさを実感しました。
だから今は、自分の視野や世界観を広げるために、中国に限らず様々な文化に触れ、いろんな世界に飛び込んでいきたいと思っています。
一度きりの人生、多くの体験を積むべきだと考えています。
--本日は素晴らしいお話をありがとうございました!

・「Wacha(和茶)」
Instagram:https://www.instagram.com/wacha.jpcn_official/
(取材・文/劉聡/在日中国人ライター。日本外国特派員協会(FCCJ)会員)