『ニーハオ、おいしい東京日和。』出版記念!
中国人漫画家・ZONさんトークイベント&特別インタビュー

2026.08.22
(ZONさんの著書『ニーハオ、おいしい東京日和。』の単行本一巻)



8月9日、東京都中野区の書店「飛地 東京(nowhere Tokyo)」で、中国出身で日本在住の漫画家・ZONさんによるトークイベント「在日本画漫画的中国人ZON的漫画分享会(邦訳:日本で漫画を描いている中国人ZONの漫画トークイベント)」が開催された。

自身の著書『ニーハオ、おいしい東京日和。』の制作秘話や、日本と中国における漫画を取り巻く環境の違いについて赤裸々に語られ、会場は熱心なファンで埋め尽くされた。

以前、ZONさんに取材させていただいた当メディア記者も会場に足を運び、ZONさんの創作への思いなどを改めて取材した。




日本の日常の「驚き」から生まれたデビュー作


本イベントは、単行本『ニーハオ、おいしい東京日和。』の出版を記念して行われた。

ZONさんが本作を描き始めたきっかけは、コミティアというイベントでトーチwebの出張編集部を持ち込みしたことだ。
そこから連載がスタートした経緯がある。

トークショーでは、単行本に収録されたエピソードの裏側が次々と明かされた。

さらには、日本の美術大学に入学するため、周りのレベルの高さにプレッシャーを感じながら、デッサンに明け暮れた予備校時代など、外国人ならではの新鮮な視点と、留学生としての等身大の苦労が作品に落とし込まれていることが語られた。

一方で、日本のことだけでなく、中国のクレープ風朝食「煎餅果子」や、日本でも流行中の「麻辣湯」など、中国の食文化も作品を通じて発信している。

「SNSやファンレターで『漫画を読んで中国の文化に興味を持ちました』、『実際に食べてみました』と言ってもらえるのが一番嬉しい。両国の文化の架け橋になれたような気がしてやりがいを感じます」とZONさんは笑顔を見せた。

(イベントの様子)




浮き彫りになる日中の「漫画環境」の違い


イベントの終盤、参加者から投げかけられた「日本と中国の漫画環境の違い」という質問に対し、ZONさんは多角的な視点から両国の現状を分析し、会場の関心を集めた。

第一に挙げたのは「出版・プラットフォーム」の客観的な違いだ。

日本では出版社が主体となり、雑誌ごとに編集部が存在し、個人単位で制作・連載から単行本化まで一貫して行われる。

一方、中国では安定した紙の漫画雑誌はほぼ存在せず、テンセントアニメやbilibili漫画といったウェブプラットフォームでの「フルカラー縦読み漫画」が主流であり、チーム制作が一般的だという。

第二に「読者層と習慣」の違いである。

日本では子どもから60代、70代以上の高齢者まで幅広い層が漫画を読み、書店で偶然表紙を見て本を買うといった「漫画を読む伝統的な習慣」が根付いている。

そのため、多様な題材の作品が生まれやすい。

対照的に、中国の読者層は18~40歳前後の「漫画愛好家」に集中しており、子どもたちはTikTokなどのショート動画に流れているのが現状だという。

約2時間にわたるトークイベントは終始和やかな雰囲気で進行し、終了後にはファン一人ひとりに対する丁寧なサイン会が行われた。

「街で歩く、漫画を描く、ここに暮らす」。

イベントの案内に記された言葉通り、日本での生活を愛し、真摯に作品へと昇華させるZONさんの今後の活躍から目が離せない。




【特別インタビュー】ZONさんが語る、創作の裏側と共生への思い


イベント終了後、当メディアはZONさんに単独インタビューを実施。

出版に伴う苦労や今後の目標、そして日本社会における「多文化共生」についての考えも語っていただいた。



--本日はトークイベントお疲れ様でした。イベントを終えての感想を教えてください!

ZONさん(以下、ZON):
今日は会場が満員になるほど、たくさんの方が来てくださり、とても嬉しかったです。

イベント会場の「飛地」さんは台湾に第一号店がある書店なので、台湾からのお客様もいらっしゃっていました。

イベントを通じて、より多くの方に漫画を知っていただけたことが、とても嬉しいですね。

(トークイベントの会場となった東京都中野区の書店「飛地 東京(nowhere Tokyo)」)



--単行本出版からしばらく経ちましたが、反響はいかがですか?

ZON:
反響もあって、とても嬉しいです。

まだ発売されたばかりなので、こうしたイベントやメディアへの露出をきっかけに、もっと多くの方に作品を知っていただけたらと思っています。

これからも、この先の話を頑張って描いていきたいです。



--本作りの過程で、最も苦労したことやこだわった部分はどこですか?

ZON:
私は日本語でコミュニケーションすることに不安があって、単行本の発売に伴って、いろいろなやりとりをしなければならなかったので、最初はかなり緊張していました!

でも、編集部の皆さんにいつも支えていただいて、今回の表紙も同じ大学出身のデザイナーさんに担当していただきました。

本を作っていく過程で、いろいろな方と出会うこともできて、最終的にとても良い単行本ができたので、本当にありがたいです。



--出版後、一番最初に誰に読んでもらいたいと思いましたか?

ZON:
特に、特定の誰かということではなく、私の漫画を読みたいと思ってくださる方に、できるだけたくさん読んでいただきたいと思っています。

お世話になっている方や、以前から作品を応援してくださっていた方にも献本させていただいたので、そういう方々に実際に本を手に取っていただけることが嬉しいです。



--今回のような食をテーマにしたエッセイ漫画以外に、今後描いてみたいテーマはありますか?

ZON:
金魚をテーマにした、わりとシュール(不条理)なホラー漫画を描いてみたいと思っています。



--日本での生活も含め、今後の目標についてもお聞かせください!

ZON:
今後の目標は、日本で長期的に漫画家として活動していくことです。

外国人である以上、収入がビザの取得に関わってくるという問題もあるので、漫画の収入だけで生活していくのは少し難しいかもしれません。

それでも、1、2年だけ活動して終わるのではなく、継続的なものにしたいと思っています。



--最後に、日本で暮らす外国人としての「多文化共生」に関するお考えをお聞きしてもよろしいでしょうか?

ZON:
「共生」というのは表面上の言葉の意味で言えば、異なる人たちが同じ場所で生活するということです。

そうすると、当然摩擦や矛盾が生じることもあります。

それを解決する根本的な方法は、やはりお互いの理解を深めることだと思います。


文化の違いによって、ある物事に対する「正しい/間違っている」の判断が異なる可能性はあります。

しかし、その地域の規定やルールに基づき「郷に入っては郷に従え」という姿勢が大切でしょう。


私たちが日本で生活しているのも、日本の文化が好きだったり、さまざまな理由があってこの場所にやって来たからです。

だからこそ、私たちが日本により良い、より豊かな文化環境をもたらすことができればと願っています。

「外国人が来たことで日本がより良くなった」となるとすれば、それは私個人としてぜひ実現してほしいことです。



--本日はイベントお疲れ様でした。インタビューさせていただきありがとうございました!

(トークショーの様子)




・『ニーハオ、おいしい東京日和。』
WEBサイト:https://to-ti.in/product/nihaotokyo

ZONさんのX:https://x.com/ZON88888888

・「飛地 東京(nowhere Tokyo)」
Instagram:https://www.instagram.com/nowhere__tokyo/
X:https://x.com/Nowhere__Tokyo




・前回のZONさんへのインタビューはこちら







(取材・文/劉聡/在日中国人ライター。日本外国特派員協会(FCCJ)会員)

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